セイルを上げる(Hoist)ため、ジブハリヤード、メインハリヤードを引く、
あるいは、ジブセイルの調整にジブシートを引くのに、ウィンチを使います。
ウィンチは常に右回り(時計回り)で巻いて使います。Two speed winchでは、反時計回りに
回すとシートは巻き上がらず、ギア比が変わります。ギア比を変えて時計回りに回せば、楽に
シートが引き込めます。
ウィンチ・ドラムとシートの間に指を挟まれないよう、使い方をマスターしよう。
シート(ロープ)を緩める場合
ヨットが航行可能な方向。風に向かうときは、45度まで切り上がることが可能です。
ヨットは何故、風に向かって帆走できるのか。
セイルはカーブ(弧)の形をしていて、このカーブの外側では気流の速度が内側より速くなります。
このため、外側が陰圧になり、セールの外側に引張り力が強く働きます。
このセールにかかる力(オレンジベクトル)がヨットを斜め前方に進めますが、
ヨットには横流れの力がかかり、キールに圧力となって加わります(黒ベクトル),
この二つのベクトルを合成すると、前方に向かう力(赤ベクトル)となります。
ヨットの縦の断面をみると、風により艇を横方向に倒す力も働きますが、
この力と艇の浮力とキールの重さ(重力)とのバランスである傾きに落ち着きます。
クロスホールドでのセーリング(45度方向)では、図のようにメインセイルを引き、
ジブセイルはセイルの両側のテルテールが流れるようにします。
Windexを見ながら、45度ギリギリの方向にティラーをアジャストします。
風の方向は常にばらついているので、小刻みな方向調整が必要となります。
ジブセイルの調整。
ジブシートが緩み、セイルが出過ぎると、内側のテルテール(赤)がフラッタリングします。
これは、右図のように、気流がラフにぶつかった後、内側の流れに剥離がおき、乱流となるためです。
ジブシートを少し引く必要があります。
ジブシートを引きすぎたとき。
外側のテルテール(緑)がフラッタリングします。
これは、ラフからの流れが引きすぎたため、外側で剥離がおき乱流となるためです。
ジブシートを少し緩める必要があります。
ブロード・リーチまたはデッドランの追い風帆走のときに起きる危険です。
メインシートが固定されていないと、ジャイブしたときや、風向きが変わったときに、
ブームが勢いよく反転して、クルーを襲います(ブームパンチ)。